皆さん、こんにちは。
港区新橋の国際税務会計事務所、国際取引に強い税理士の波多です。
本日のブログのテーマは、「【消費税】期末までの届出が必須!たまたま土地の譲渡を行った場合には要検討!!」です。
たまたま土地の譲渡を行った場合、消費税の計算において、課税売上割合が大きく減少して、結果的に消費税の納税額が通常時に比べて大きくなります。
通常、土地の譲渡価額は多額になりますので、消費税の負担も数百万円単位で増加することもあります。
しかし、期末までに届出を行うことによって、会社にとって有利な課税売上割合を使用することができます。
届出を行うか否かによって、会社の納税額が数百万円単位で変わってきますので、該当する場合には、必ず期末までに検討を行いましょう。
目次
・期末までに届出が必要
・みなし承認はない
・個別対応方式の適用が必須
・翌期に不適用届出が必要
消費税の計算において、通常は実際に行った取引に基づいて課税売上割合を計算します。
しかし、土地の譲渡があった場合、多額の非課税売上が認識されて、課税売上割合が減少し、納税額が増加することになります。
それでは事業の実態を反映していないという趣旨から、「たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合」を用いることが認められています。
要件としては、次の2つの要件を満たす必要があります。
1)土地の譲渡が単発
かつ
2)土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がない
この2)の要件は曖昧な表現ですよね。
具体的には、次の2つの要件を満たせば、2)の要件を満たしたことになります。
①事業者の営業の実態に変動がない
かつ
②過去3年間で「最も高い課税売上割合」と「最も低い課税売上割合」の差が5%以内
通常は、課税売上か免税売上がほとんどの会社では、②の要件は満たせますね。
2.の適用要件を満たした場合、実際の課税売上割合ではなく、次のいずれか低い割合によって「課税売上割合に準ずる割合」の適用承認申請をすることができます。
1)当該土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合(通常、前3期の通算した課税売上割合)
2)当該土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合
デメリットとしては、個別対応方式で計算する必要があり、事務手間がかかるということです。
課税売上割合に準ずる割合を用いて仕入税額控除を計算できるのは、個別対応方式により仕入税額控除を計算する場合に限られます。
個別対応方式による場合、課税・非課税共通用の課税仕入れ等の税額の按分にあたり「課税売上割合に準ずる割合」の適用が認められます。
届出期限は、期末になります。
3月決算であれば、3月末になります。
令和3年度税制改正前は、期末までに税務署長の承認を受けなければ、その期に適用することはできませんでした。
それでは、3月下旬に土地を譲渡した場合間に合わないので、不合理な取扱いですよね。
そこで税制改正が入りました。
現在では、課税売上割合に準ずる割合の適用を受けようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までの間に承認を受けた場合は、当該課税期間の末日においてその承認があったものとみなすとされています。
つまり、期末までに承認申請書を提出し、1カ月以内に承認を受ければ適用できることになります。
通常、土地の譲渡価額は多額になりますので、消費税の納税額に与える影響は大きいです。
土地の譲渡があった場合には、必ず期末までに「課税売上割合に準ずる割合」を検討しましょう。
遭遇するケースが少ないので、事前の検討が漏れやすい項目になります。
しかし、税額に与える影響は大きいので、皆さんご留意ください。
それでは、また次回のブログで!
税理士 波多倫己(はたともみ)
スタートアップの支援、国際取引など国際税務の支援に力を入れている事務所です。
中野区に在住していますので、中央線や丸の内線沿線のかたもお気軽にお問い合わせください。
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