ブログ

【消費税】まずい!届出書の提出を失念!! ~消費税の課税事業者選択届出書の提出を忘れた場合の対処法~

皆さん、こんにちは。

港区新橋の自称若手税理士の波多です。

(国会議員の若手と同じ感覚ですが、異論は認めます。)

突然ですが、税理士業務のなかで、最も事故が発生する税目は何だと思いますか?

それは、「消費税」です。

税理士職業賠償責任保険の支払件数・支払金額ともに「消費税」が一番多いです。

それは、有利な方法を選択するための「事前の届出」、有利な方法の「選択」が必要であり、ミスが発生しやすいためです。

消費税の還付を受けるため、消費税の課税事業者になったほうが有利な事業者もいます。

その届出書の提出を忘れた場合、もうアウトでしょうか。

いや、最小限のダメージで切り抜ける方法があります。

今日はその方法を見ていきましょう。ネバーギブアップ!!

目次

消費税の課税事業者を選択するケース

消費税の課税事業者にはならない方がいい!

漠然とそう考えている事業者のかたも多いのではないでしょうか。

しかし、課税事業者となった方が有利なケースもあります。

・売上が輸出など免税売上のケース

・多額の設備投資を行うケース

これらのケースでは、消費税の還付を受けられることがあり、消費税の課税事業者を選択したほうが有利となることがあります。

これらの判断は、主に個人事業の開業当初法人の設立当初に必要なケースが多くなります。

そのため、個人事業の開業時や法人の設立時こそ、相談できる税理士が必要です。

(営業ではなく、本心でそう思っていますw)

消費税の課税事業者になる方法

消費税の課税事業者になるためには、「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要となります。

(消費税課税事業者届出書ではないのでご注意を!まぎらわしい名前ですね)

通常は、課税事業者になりたい課税期間の課税期間中に提出を行う必要があります。

法人の設立事業年度や個人事業を開業した年の場合などには、その事業年度中・その年中に提出すれば適用できます。

そのため、事前の届出が必要であるため、事前に事業内容や将来の設備投資計画を踏まえて、消費税の取扱いを検討することが重要となります。

具体例

それでは具体例を見ていきましょう。

1期目は免税事業者だった新橋株式会社ですが、2期目になってから大規模な設備投資計画の話を聞いた税理士さんがいたとします。

税理士さんが検討した結果、消費税の課税事業者となって還付を受けた方が有利であることが判明しました。

しかし、この場合、1期目のうちに消費税の課税事業者選択届出書を提出しておく必要がありました。

社長としては、1期目のうちにこの設備投資計画の話を税理士さんに話していたと言っています。

会社の資金繰りも考えて、どうにかしたいものですがどうしたものか・・・。

解決策

このようなケースでの解決策の一つが、「課税期間の短縮×課税事業者の選択」です。

通常は12カ月ごとに消費税の申告が必要となりますが、課税期間(消費税額の計算の基礎となる期間)を「3カ月」や「1カ月」に短縮することができます。

例えば3月決算の会社が、課税期間を12カ月から3カ月に変更する場合、6月に「課税期間特例選択・変更届出書」と「課税事業者選択届出書」を同時に提出すれば、7月から「消費税の課税事業者」となって、消費税の申告(7月~9月、10月~12月、1月~3月)をして還付を受けることができます。

つまり、設備投資の時期を7月以降にずらせれば、無事消費税の還付を受けられることになります。

事業年度を変えてしまうことも方法としてはありますが、消費税以外の影響も考慮する必要があります。

解決策のデメリット

課税期間を「3カ月」や「1カ月」に短縮した場合、3カ月ごと・1カ月ごとに消費税の申告を行う必要があります。

そのため、事務手間や追加での税理士報酬も必要になってきます。

1カ月ごとの申告はかなりキツイかと思います。

まとめ

消費税に関しては、将来予測に基づく事前の検討が重要となります。

納税者と税理士が定期的にコミュニケーションを取ることが、ミスの防止にもつながっていくと思います。

しかし、いざというときには、この方法を検討してみてください。

消費税の判断は複雑なので、必ず事前に税理士に相談して、全体を踏まえて判断することが重要です。

この方法は、「簡易課税制度」の届出を忘れた場合などにも準用できますので、いざという時にはご検討ください。

しかし、そういうことがないことを祈っております。

それでは、また次回のブログで!

税理士 波多倫己(はた ともみ)

法人・ミニマム法人の設立・個人事業の開業などスタートアップの支援、海外取引など国際税務の支援に力をいれている事務所です。

新橋・芝大門エリアの波多国際税務会計事務所です。新橋・汐留・浜松町・芝大門からアクセス可能です。

中野区に在住していますので、中央線や丸の内線沿線のかたもお気軽にお問い合わせください。

中野駅、新中野駅、中野坂上駅、西荻窪駅、国分寺駅あたりによく出没します!

プロフィール事務所案内 | 波多国際税務会計事務所 (hata-crossborder.com)

Twitterhttps://mobile.twitter.com/FairnessTax

免責事項 | 波多国際税務会計事務所 (hata-crossborder.com)

関連記事

  1. 事業所税とは?わかりやすく、要点をスバっと解説!
  2. 【税務調査】三菱電機、源泉徴収漏れで追徴課税!税理士が原因を分か…
  3. 国際税務のおススメ本①(総合編) ~国際税務専門の税理士が教える…
  4. 会社設立時の登録免許税が半額! 認定特定創業支援等事業とは?
  5. 【消費税】期末までに届出が必須!たまたま土地を譲渡した場合には要…
  6. 【節税】社宅でなぜ節税できるのか? ~スモールビジネスでの活用…
  7. 自分で会社設立できるの?費用・流れ・期間を実例で解説!
  8. 【国際税務】外貨建取引における税務のポイント ~為替相場が著し…
PAGE TOP