皆さん、こんにちは。
港区新橋・芝大門でスタートアップの支援をしている税理士の波多です。
今日のブログでは、「社宅でなぜ節税できるのか?」について、分かりやすく解説していきたいと思います。
前回のブログでお伝えしましたが、「節税方法」の多くは、「課税の繰り延べ」です。
(前回のブログもご参照ください)
【節税】倒産防止共済(経営セーフティ共済)の本当の活用方法 ~会社経営者も個人事業主も要チェック~ (hata-crossborder.com)
しかし、社宅を用いた節税方法は、課税の繰り延べではなく、「本当の意味での節税」と言えます。
今回のブログでは、社宅を用いた節税方法を分かりやすくご説明していきます。
今回は、よくあるケースとして、以下の前提で説明していきたいと思います。
・社長(役員)1人・従業員1人の会社
・会社が賃貸借契約を締結した物件
目次
そもそも社宅とは何でしょうか?
会社が以下のいずれかの方法によって、役員や従業員のために用意した物件のことをいいます。
(パターン①)会社が物件の賃貸借契約を締結
(パターン②)会社が物件を購入
つまり、役員や従業員個人が賃貸借契約を締結した場合、この社宅制度は利用できません。
会社で物件を購入する場合、資金の問題が生じます。
そのため、一般的に物件を賃借するケースが多くなります。
通常の場合、皆さんのお給料から税金や社会保険料を支払った後、手取り部分から家賃を支払っているかと思います。
社宅の場合、端的に言えば「生活費である家賃の多くを会社の経費」にして節税することができます(後述しますが、一部自己負担が生じます)。
つまり、家賃の多くは会社が支払ってくれるため、社長の給料をその分減らすことも可能となります。
家賃の個人での支払いがほぼない分、その分社長のお給料を減らせば、お給料から引かれる税金や社会保険料が安くなります。
個人の生活費が、会社の経費になって、個人の税金や社会保険料が減る、「本当の意味での節税」になります。
社長のお給料を減らさない場合、法人の経費が増えるので、法人税等の負担が減ります。
前述のとおり、社宅の賃借料の多くは会社の経費とすることができます。
しかし、一部個人で自己負担する必要があります。
それは、「賃貸料相当額」をベースとして計算されます。
賃貸料相当額は、以下の区分によって、それぞれ計算されます。
①従業員の場合
②役員の場合
―1 小規模な住宅の場合
―2 小規模な住宅でない場合
―3 豪華社宅の場合
従業員の場合、以下の方法で計算した「賃貸料相当額の半分」を、最低でも従業員が個人負担する必要があります。
この最低ラインを負担していない場合、「賃貸料相当額」との差額が課税対象となります。
「賃貸料相当額」は、以下の①から③の合計額となります。
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
②12円×その建物の総床面積(㎡)÷3.3㎡
③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
「賃貸料相当額」を4万円とした場合、従業員は個人で2万円の負担をする必要があります。
もし1万円しか負担していなければ、「賃貸料相当額」4万円との差額である3万円が給与として課税されるので要注意です。
役員の場合には、住宅の規模に応じて計算した「賃貸料相当額」を、最低でも個人負担する必要があります。
この最低ラインを負担していない場合、「賃貸料相当額」との差額が課税対象となります。
1)小規模な住宅の場合
「賃貸料相当額」は、以下の①から③の合計額となります。
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
②12円×その建物の総床面積(㎡)÷3.3㎡
③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
従業員の場合と同じ計算方法ですが、その「半分」ではなく、「賃貸料相当額の全額」を役員が負担する必要があります。
なお、小規模な住宅とは、以下の建物をいいます。
(法定耐用年数が30年以下の建物)床面積が132㎡以下
(法定耐用年数が30年超の建物)床面積が99㎡以下
2)小規模な住宅でない場合
以下のいずれか高い方の金額が、「賃貸料相当額」となります。
①賃借料の50%相当額
②上記1)で算出した「賃貸料相当額」
通常の場合、「賃借料の50%の金額」が高くなるケースが多いかと思います。
3)豪華社宅の場合
床面積が240㎡を超えることや、家賃等を総合勘案して豪華社宅とされた場合、一般的な相場が「賃貸料相当額」となります。
つまり、社宅としての節税効果はなくなってしまいます。
残念ながら、個人事業主本人の場合、社宅制度を利用することはできません。
個人事業主の従業員の場合、社宅制度を利用できます。
しかし、個人事業主の場合には、大家さんが社宅として契約してくれるのか、という税務以外の問題が生じます。
個人事業主の場合、契約者と実際の居住者が異なるため、賃貸者契約の締結が難しくなります。
ところで、「賃貸料相当額」の計算に用いる「固定資産税の課税標準額」は、どうやって把握するの?という疑問が生じますよね。
物件の借主であれば、市区町村で「固定資産税の課税標準額」を確認することができます。
事前に市区町村に確認したうえで、賃貸借契約書を持参して確認しましょう。
上記のとおり、「固定資産税の課税標準額」を基に計算するのは、正直なところ面倒です。
そのため、ざっくりと「賃借料の50%」を個人負担分としているケースがあります。
しかし、「固定資産税の課税標準額」を基に計算した場合、「賃借料の10%~20%」程度が「賃貸料相当額」となることが多いです。
つまり、その方が会社の経費となる金額は大きくなりますので、安易に50%とはしないようにしましょう。
これらの計算は、あくまで社宅の賃借料に関する「賃貸料相当額」の計算方法です。
そのため、水道光熱費などもこの割合で個人負担分を計算できるわけではありません。
水道光熱費は、原則として個人で全額負担することになります。
社宅を利用した節税のポイントをご理解いただけたでしょうか。
社宅をうまく活用すれば、節税することが可能となります。
会社経営をされている経営者の皆様は、ご検討いただければと思います。
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