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【国際税務】海外子会社からの利益還流のポイント ~海外配当の課税方法~

皆さん、こんにちは。

港区新橋・芝大門の国際税務専門家の波多です。

今日のブログでは、「海外子会社からの利益還流のポイント~海外子会社からの配当の課税方法~」について、分かりやすく解説していきたいと思います。

皆さんの会社が海外に子会社を設立して海外進出する場合、税務上の観点から何を気にされますか?

まず、現地の法人税等の実効税率ではないでしょうか。

しかし、そこで残った利益は、全額日本で受け取れるのでしょうか?

答えは「いいえ」です。

「配当の源泉税率+5%×日本の実効税率」の税負担が生じます。

つまり、配当の源泉税率を10%として、日本の実効税率をきりよく30%とした場合、「10%+5%×30%」=「11.5%」が配当の税務コストになります。

海外進出する場合、「配当の税務コスト」は重要な要素になってきます。

最初からややこしい話ですいません。

今日のブログでは、この計算に関係してくる「外国子会社配当益金不算入制度」について、分かりやすく解説していきます。

目次

外国子会社配当益金不算入制度とは?

外国子会社配当益金不算入制度とは、国際的な二重課税を排除する目的から、日本本社が一定の要件を満たす外国子会社から受けとる配当の95%を益金不算入として、二重課税を排除する方法です。

本制度の適用がある場合、外国子会社の所在地国で配当支払時に源泉税が課されたとしても、外国税額控除の適用はありません

また、日本本社は源泉税を損金算入することもできません。

つまり、源泉税は純粋な税務コストになります。

したがって、海外進出先国を検討する場合、日本への利益還流までには、以下の税務コストがかかります。

「現地の実効税率(法人税率等)」+「配当の源泉税率+5%×日本の実効税率」

「5%×日本の実効税率」としているのは、配当の5%は日本で課税されるためです。

配当の源泉税は、国によって免税の場合もあれば20%の場合もあります。

日本までの利益還流を踏まえれば、「配当の源泉税率」は影響の大きい項目になります。

対象となる外国子会社の範囲

どんな外国法人から配当を受けても95%が益金不算入となるわけではありません。

次の①および②の要件を満たす外国法人(外国子会社)から配当を受けた場合に適用があります。

①発行済株式数または議決権の25%以上を保有

①配当の支払義務が確定する日以前6カ月以上継続して保有

なお、この「25%以上」という割合は、租税条約に別途割合が規定されている場合があります。

その場合には、以下のとおり、租税条約に定める割合によって判定を行います。

(10%)アメリカ(議決権株式)、オーストラリア、オランダ、カザフスタン、ブラジル

(15%)フランス

注意点

外国子会社から受ける配当のなかには、外国子会社側では株式を社債とみなして損金算入されるケースがまれにあります。

このような損金算入配当は本制度の適用から外れることになります。

本制度の適用を受けるためには、確定申告書に別表8(2)を添付し、かつ、外国子会社に該当することを証する書類等の保存が求められます。

まとめ

外国子会社が現地で得た利益が、日本に還流されるまでの税務のポイントをご理解いただけたでしょうか。

日本国内であれば、北海道に支店を設けようと、沖縄に支店を設けようと、そこまで税負担に差異は生じません。

しかし、海外進出する場合、どの国に進出するかによって、日本へ還流できる利益の額は大きく異なってきます。

その大きな要素として、外国子会社から受ける配当の課税関係が大きく影響してきます。

海外進出する際には、進出から撤退までの税負担を検討することが重要です。

それでは、また次回のブログで!

税理士 波多倫己(はた ともみ)

法人・ミニマム法人の設立や個人事業の開業などスタートアップの支援、海外取引など国際税務の支援に力をいれている事務所です。

新橋・芝大門エリアの国際税務会計事務所で、新橋・汐留・浜松町・芝大門からアクセス可能です。

中野区に在住していますので、中央線や丸の内線をよく利用しています。

中野駅、新中野駅、中野坂上駅、西荻窪駅、国分寺駅あたりにはよく出没します!

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